産まれてすぐの赤ちゃんの皮膚は、「胎脂」という脂で守られていますが、胎脂は生後48時間以内に自然に剥がれてしまいます。
しかも、皮膚の厚さが薄いので、細胞内で保持できる水分量が少なく、乾燥しやすくなっています。
乾燥すると肌のバリア機能はいっそう下がってしまい、角層が剥がれて隙間が生まれます。
特に、肌荒れや湿疹のある赤ちゃんは角層が薄く隙間だらけで、卵などの食品や花粉、動物のふけ、ハウスダストに含まれるダニの破片などアレルギー原因物質(抗原)が皮膚のバリアを通過して侵入し、アレルギーを引き起こす免疫細胞と接触することで感作が起こります。これを「経皮感作」といいます。
食物アレルギーは産まれたときにはありません。
通常は肌荒れ、湿疹があらわれたあとに発症します。
近年の研究結果から、スキンケア不足による経皮感作により食物アレルギーは進行し、アレルギー症状を引き起こすことがわかってきました。肌荒れがひどくなると、よりアレルゲンを取り込みやすくなるのです。
月齢が低く、アトピー性皮膚炎が重症であるほど食物アレルギーも重症化する傾向があります。
皮膚のバリア機能が未成熟な赤ちゃんだからこそ、その機能をしっかりと補ってあげる必要があります。
スキンケアの必要性
ある医療機関で産まれた赤ちゃんのうち、保湿剤を塗るグループと塗らないグループで生後8か月のアトピー性皮膚炎発症率を比べた研究があります。
その研究では、生後1~2ヶ月でアトピー性皮膚炎を含めた湿疹を発症した赤ちゃんは、湿疹がない赤ちゃんに比べて7.28倍も食物アレルギーになるリスクが高いという結果が出ました。
このことからも、新生児期から全身の保湿ケアをすることで、アトピー性皮膚炎の発症リスクを30~50%抑えられることがわかります。
乾燥が気になる部分だけでなく「全身に保湿をする」というところがポイントです。
食物アレルギーかどうか不安な場合
当院では最初に赤ちゃんの肌状態を確認し、すぐに維持・改善に取り組みます。
アトピー性皮膚炎の重症度の指標であるTARCや、抗原への反応を見る特異的IgE抗体を検査することもあります。
(アレルギー検査・血液検査)
乳幼児期早期からの積極的な介入により、アレルギーにさせない、悪化させないことが目標になります。
お早めにご相談ください。